仕訳の基本(ルール)を理解しよう
前回の復習
- 年に一度決算手続きで、利益、財産を明らかにするため、財務諸表を作る。
- 財務諸表とは、損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)のこと。
- 財務諸表を作るには、日々の帳簿付けが必要。
- 帳簿は、簿記の5要素(資産、負債、純資産、費用、収益)ごとに付ける。
では早速、帳簿をつけてみましょうか?
葛西から渋谷まで行って、喫茶店で打ち合わせ。
よし、メモメモ〜♪ 帳簿付け〜♪
201*/**/** 東京メトロ東西線の往復:574円
201*/**/** 喫茶店:800円
っと。あとは決算手続きでまとめればいいんでしょ?
あれ?電車賃は5要素のどれだ?喫茶店は??
とならないように、ちゃんとルールがあります。当然ですね。
5要素の具体的な中身を「勘定科目」というようです。
電車賃は「旅費交通費」という「費用」の「勘定科目」に分類され、喫茶店代はたとえば「会議費」という「費用」の「勘定科目」に分類されるそうです。
何がどの勘定科目に当たるのかは追々身に付くようなので、さらっと流しましょう。
要するに、何かしらお金の出入りがあった場合は、決められた「勘定科目」に分類して記録すれば良いようですね。で、これを「仕訳」というのですね。ちなみに、お金の出入りを「取引」というそうです。
では、仕訳のルールとやらを確認してみます。
- 1つの取引を左右2つに分けて記入する
- 5つの要素ごとに勘定科目の増減を左右どちらに記入するかが決まっている
- 左側の合計金額と右側合計金額は必ず一致する
困りました。早速なんのこっちゃ全然分かりません。
ルールをひとつずつ見てみましょう。
【ルール1】1つの取引を左右2つに分けて記入する
葛西から渋谷までの往復移動するのに、574円電車賃がかかっていました。
この場合は、こんな風に取引を左右2つに分けて記録するようです。
(旅費交通費) | 574 | (現金) | 574 |
で、実はこれは、二つ目のルールも満たしているんです。
なぜ、
(現金) | 574 | (旅費交通費) | 574 |
じゃないのか?という理由ですね。
【ルール2】5つの要素ごとに勘定科目の増減を左右どちらに記入するかが決まっている
前回説明した「損益計算書(P/L)」と「貸借対照表(B/S)」を覚えていますか?
もちろん、試算表(T/B)でも良いです。
試算表(T/B)はこんなやつでした。
資産 | 負債 |
純資産 | |
収益 | |
費用 |
これ、見ての通り、
「資産」「費用」は左側、
「負債」「純資産」「収益」は右側に有りますよね?
この位置関係が、このルールを表しています。
どういう決まりかというと、勘定科目が増加する場合に、試算表(T/B)の各要素(勘定科目の所属する要素)が存在する方に記録する(勘定科目が減少する場合は、逆に、各要素が存在しない方に記録する)という決まりです。
で、この位置関係のことは、「ホームポジション」というらしいですね。
今回の例では、旅費交通費は「費用」だと簡単に説明しました。費用が嵩む、つまり、費用の勘定科目が増えていますね。従って「費用」のホームポジションである左側に「旅費交通費」を書いています。お金が減ったので費用が減ったと考えてしまうと混乱します。私ははじめこれで混乱しました。
一方、現金は減っています。現金は「資産」の勘定科目なのですが、これが減ったのでホームポジションと反対側の右側に書いています。(増えれば、左側に書くという事ですね。)
それで、
(旅費交通費) | 574 | (現金) | 574 |
こうなるんですね。
【ルール3】 左側の合計金額と右側合計金額は必ず一致する
今回の例ではピンときませんね。左右に記録しているので一致して当然ですよね。こういう事らしいですが、もうちょっと先になって復習できればと思います。
(旅費交通費) | 574 | (現金) | 1374 |
(会議費) | 800 |
左側、右側って何か呼び方ないの?
ちゃんと簿記の用語があるんですって。ですよね。
でも、特に意味は無いんですって。えー。
左側を「借方」、右側を「貸方」と呼ぶそうです。参考にしているテキストでは、「かりかた」は「り」のはらいが左だから左側、「かしかた」の「し」のはらいが右だから右側という覚え方を提案してくれていました。
まぁでも何度か仕訳を繰り返していけば自然に覚えられそうですよね?
よし!じゃ、いま見てきた仕訳を日々やっていけば後は財務諸表が作れるのか?
きっと作れるんだろうけど、大変そう。その前に、ひと手間掛けるらしい。
何をするかというと「転記」。何に転記するんでしょうね。なんで転記するんでしょうね。
仕訳をするだけだと、どの勘定科目にどれだけ増減があったかが見えにくい。
全部の取引が記録されているからね。確かにそうだ。
要するに、勘定科目ごとの増減を分かるように別の何かに転記する訳だね。
どんな風に転記するか見てみましょ。今回の例では仕訳はこんなんでした。
(旅費交通費) | 574 | (現金) | 574 |
(会議費) | 800 | (現金) | 800 |
で、こいつを勘定科目ごとにこんな感じで転記するんだって。
現金 | |
574 | |
800 |
旅費交通費 | |
574 |
会議費 | |
800 |
取引が発生したらこれに追記していく事になります。これで、勘定科目ごとの増減が分かるようになりますね。勘定科目が増えると面倒だけど、ずいぶん見やすくなりますね。
これ、「勘定口座」って言うそうです。仕訳から「勘定口座」への「転記」というわけですね。勘定口座は“Tの字”に記録することから「T勘定」、「Tフォーム」とも言われるそうです。
参考書では今のところ出てきていませんが、仕訳を記録するものを帳簿を「仕訳帳」、勘定口座を記録する帳簿を「総勘定元帳」というそうです。
ということで、
今回のまとめ
「取引(お金の出入り)」があったら、「勘定科目」ごとに「仕訳」を行いましょう。「仕訳」には3つのルールがありましたが、5つの要素のホームポジジョン(試算表(T/B)の配置)を覚えて、増減に応じて左右に記録すればOKですね。で、最後に、仕訳帳から「勘定口座」へ「転記」する事で、勘定科目ごとの増減を記録する事ができます。
ここまで、簿記の基本については、参考書籍も最初に書かれていましたが、この先はそれぞれ解説の順番が同じではないと思います。
本ブログでもどう書いていくか試行錯誤しながらになりますので、その点ご了承ください。
参考書籍
この記事を書く上で参考にした書籍とページは以下の通りです。
書名 | 参照先 | |
---|---|---|
第1章 簿記の基礎 case2 仕訳の基本 |
p4-10 | |
1コマ イントロダクション 2コマ B/S、P/L 3コマ 基本用語の解説 |
p14-19 |